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被災地の教訓から考える災害に備えた備蓄 これがあれば重宝する

「乳児用液体ミルク」※を紹介する小池百合子知事(©東京都)

「乳児用液体ミルク」※を紹介する小池百合子知事(©東京都)
※常温で長期保存でき、あらかじめ調乳されているので、お湯が沸かせなくても、そのまま赤ちゃんに飲ませることができるなど災害時に有用です

いつ大きな災害に見舞われてもおかしくない東京都。私たちは災害に備え、何を、どれくらい備蓄しておくべきなのでしょうか。過去の被災地の経験には、多くの教訓とヒントがあります。楽しく学べる防災教育教材や防災プロジェクトを開発、実施するNPO法人プラス・アーツ(神戸市)の永田宏和理事長に話を聞きました。

ライフライン復旧まで備蓄は最低2週間分を確保

災害に備えた備蓄に関しては、何を用意しておくかと同様に、どれくらいの数や量を準備しておくかがとても大切です。量を意識した備蓄こそ正しい自衛といっても過言ではありません。

過去の事例が示すように、甚大な地震や風水害が起こると、水道やガス、電気といったライフラインが一定期間ストップしてしまいます。阪神・淡路大震災や東日本大震災を振り返ると、ライフラインが完全に復旧するまでには最低1か月以上かかると想定しておくべきでしょう。長期化した場合、上下水道は1か月前後、ガスは2か月前後、使えない状態が続くと考えられます。水道やガス、電気が使えなければ、残念ながら現代の私たちの生活は成り立ちません。

つまり上下水道、ガス、電気が不通となる期間を認識し、自分の家族構成では普段の生活でどれくらいライフラインに依存しているかを把握したうえで備蓄に向き合う必要があります。政府の地震調査委員会がこれからの30年以内に70パーセントの確率で起こると発表している首都直下地震は、東海、東南海、南海に連動する可能性もあります。広範囲にわたり物流が停止し、都内への支援物資の配給が遅れるかもしれないと想定し、ライフラインに代わる備蓄を最低でも1週間分以上は確保しておきたいところです。

具体的に言うと、上下水道はペットボトルの水と口腔ケア用ウエットティッシュと携帯トイレ、ガスはカセットコンロとカセットボンベ、電気はLEDランタンで代替できます。また、口腔ケア用ウエットティッシュは口の中を綺麗(きれい)にするだけでなく、調理器具やお箸やスプーン、手や体も拭くことができるので、水道が止まった際は生活用水の代わりとして使用することができます。

水は一日3リットル、電池は40本前後をストック

では、一人当たりどれくらいの量を備蓄しておくべきなのでしょうか。

人間の体は一日当たり約2.5リットルの水を排出していると言われています。つまり備蓄としては一日2リットルのペットボトル1~2本が必要となります。携帯トイレは見落としがちですが、生理現象や衛生面に関わるものなので、豊富な蓄えがあったほうがよいでしょう。また、ガスに代わるカセットボンベは2~3日で1本なくなるというシミュレーションが賢明です。今示した量をもとに、最低でも1週間分以上、念には念を入れるなら約1カ月分のライフラインの代用品を手元に置いておけば、ストレスの少ない避難生活が送れるはずです。

電気に代わるLEDランタンに関しては、両手が空き避難時に動きやすいLEDヘッドライトも用意しておくとよいでしょう。暗闇の不安を和らげる意味でも、電池は多めにストックしておくべきです。電気が通らない避難時は、電池があることで携帯ラジオやスマートフォンの電池式充電器も使えるため、情報を入手したり、家族などと連絡を取ったりすることができます。単1から単4までの電池を40本前後そろえておけば、有事の際の不便も解消されるでしょう。ペットボトルの水や電池は日常生活で使い、使ったぶんを定期的に買い足す“ローリングストック法”を採用するのも一つの方法と言えます。

また、台風が接近すると、買いだめがよく起こります。2019年に首都圏を襲った台風19号では、一部の店の棚から商品がなくなりました。量を意識した備蓄を心がけておくことは、こうした買いだめによる混乱を防ぐことにもなります。

実は、災害用とは思わずに買っているけれど、災害に備えた備蓄となるものがあります。食品用ラップは皿の上に乗せて使えば、皿を洗う水が必要ありませんし、体に巻けば防寒対策にもなります。新聞紙も1か月分をためておけば、立派な防災用品になります。体に巻いて防寒したり、折り紙の要領で食器を作ったりできますし、何重にも折りたためば骨折の際の添え木代わりになります。携帯トイレがなくなった際は、ゴミ袋と新聞紙で簡易的なトイレを用意することもできます。

ゴミ袋やポリ袋は何より水を運ぶ際に重宝します。災害時に仮設水槽や給水車から袋に水を入れることができるからです。ゴミ袋を二重にして水を入れ、それを縛ってリュックサックに入れれば運ぶのに大きな負担はありません。高層マンションの少なくない東京都では、この方法で貴重な水を持ち運ぶのが最善の方法と言ってもよいでしょう。

量を意識した備蓄は、電池や食品用ラップなど普段何気なく使っている日用品にも当てはまります。「大は小を兼ねる」の備蓄が、いざというときに自分や家族の身を守ってくれます。

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