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東京での大災害に備える 備蓄と在宅避難の選択

東京での大災害に備える 備蓄と在宅避難の選択

東京都が大きな地震に見舞われる可能性が専門家から指摘されています。毎年のように首都圏が風水害に見舞われている点も無視できません。震度6強の大地震や風水害について、私たちは何を想定し、どのような備えをすべきなのでしょうか。キーワードとなる「災害に備えた備蓄」と「在宅避難」について、兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科の室﨑益輝研究科長に重要なポイントを聞きました。

災害対策は「転ばぬ先のつえ」備蓄はできるだけ多く

「首都直下地震」とは文字どおり、東京都を含む首都圏を震源地とする地震のことです。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震と同程度の震度6強の激しい揺れが見込まれています。向こう30年で70パーセントの確率で発生すると言われており、都の被害想定によると都内だけで建物倒壊や火災などによる死者は最大約9,700人にのぼると想定されています。

当然、上下水道、電気、ガスといったライフライン、通信網や交通網といったインフラも止まることが予測されます。一般的にライフラインは1週間ほどストップし、その間は救援物資を待たなければならないとされ、“1週間備蓄”が推奨されています。食料品や水、携帯トイレ、カセットコンロとカセットボンベ、電池などを1週間分はストックしておくという考え方です。災害に対しては万全を期すに越したことはありません。つまり、あらゆる被害が予測の倍になる可能性を視野に入れておくべきです。最低でも2週間はライフラインが止まると考え、それだけの備蓄を心がけましょう。災害対策は「転ばぬ先のつえ」で、備蓄が多くて困ることはありません。

大雨や台風による風水害に対する備えも同じ考え方でよいと思います。ただし、地震時と異なる部分もあります。雨や風は予報などからある程度予測できるため、被害が発生する前に避難することができます。防災マップや防災地図とも呼ばれる「ハザードマップ」も大きな助けになってくれます。普段から逃げる場所を確認し、あらかじめ時系列にそった避難行動(マイ・タイムライン)を決めておくとよいでしょう。また、東日本大震災時のように地震でも海が近い場所は津波のおそれがありますから、海のそばに住む方はやはり高い避難場所をあらかじめ把握しておくべきです。

避難所の過密化を防ぐ「在宅避難」の選択も

首都直下地震を想定したとき、約1400万人という東京都の人口の多さは看過できません。東京都内の避難所は約3,000か所、収容人数の総計は約317万人となっており、都民全員が避難所に集まることは現実的とは言えません。

場合によっては「在宅避難」のほうが少ないストレスで避難生活を送れる可能性があります。ただし、災害時にマンションや一戸建て住宅で過ごすには、いくつかの条件を満たしていなければなりません。「十分な防災備蓄があること」「建物の耐震性が高いこと」「浸水のリスクが低いこと」の3点が確認できれば、自宅での避難生活を選択してもよいでしょう。在宅避難をする人が多ければ多いほど、高齢者や障害者、持病を抱えている人など、在宅避難に不安がある人が避難所に安心して駆け込むことができます。こうした 「分散避難」は避難所の過密化を防ぎ、感染症拡大という二次災害のリスクを軽減します。

建物の耐震性に関して、特定の講習を受けた専門家(耐震診断士)による「耐震診断」をお願いすることができます。防災の備えとして耐震診断を受けておくと、在宅避難が妥当かどうかの判断基準が増えるはずです。特に、昭和56年以前の旧耐震基準で建てられた建物は早急な耐震化が必要となるケースがあるので注意しましょう。

専門家と連携して、地域で「人の備蓄」を

私を含む専門家が防災備蓄の重要性を強く指摘するのは、現代社会がライフラインやインフラに大きく依存しているからです。仮に首都直下地震が起き、上下水道、電気、ガス、通信網や交通網などが止まれば、普段何気なく送っている生活が大きな影響を受けることになります。災害時に困らないためにも、十分な非常用物資を備蓄しておくべきでしょう。屋外避難の可能性を視野に入れ、雨風をしのげるテントを準備しておくのも得策と言えます。

備蓄するのは物資だけに限りません。大きな災害に向けては「人の備蓄」も必要です。いざというとき、怪我(けが)や病気を見てくれる看護師や保健師、一次災害を受けた後の家屋の状態を判断してくれる耐震診断士、地震後に懸念される火災被害を防ぐための自主防災組織といった存在ほど頼もしいものはありません。地域やマンション単位で、普段から専門家と密に連携して、「人の備蓄」を通して有事に備えておくことが大切です。被災時に避けたいのは孤立であり、人口の多い東京都であれば各地域に災害時に活躍できる専門家がそろっているはずです。

これからの30年で70パーセントの確率で発生するとされている首都直下地震。震度6強の揺れによる被害を最小限にとどめるには、徹底的な物資と人の備蓄、そして状況にあった避難方法が重要になってきます。万一に備え、普段から防災意識を高めておきましょう。

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